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追憶シューズ

 

 

小学校4年生の男児、靴は当たりまえに、すぐに汚れる。
今日も本来の赤い色が白に変わっていたので、彼が寝てから濡れた布で拭っていると、1年半くらい前の記憶がよみがえった。

 

スウェーデンのイエーテボリ在住時、一日も欠かさず書いていたブログで、なぜかアップするのを止めて、でも手元に文章を残していたのを探して読み返す。

 

ここ2週間、息子を旦那様に託し、再びイエーテボリで演奏旅行をしてきた。
その間も、この靴は、いつも息子の足元にいたんだなあと、やっぱり当時と同じ気持ちになった。

 

シューズよ、君は母よりずっと近くで息子を支えてくれているのだね!
感謝と愛情を込めて、君をスケッチしよう。

 

Shose_0414

 

 

 

息子の靴を洗う (2012秋の手記より)

 


これからイタリア旅行に出る玄関先で、革のショートブーツを勧める私と、スニーカーが良いというT君(小学2年生)と押し問答になった。
結局、ブーツを履いてみたものの、かかとが少し痛いというので、スニーカーで。

 

イタリア(ミラノとベネチア)で、くたびれたスニーカーを履いていてほしくないというのは親の見栄以外のなんでもない。しかし、レストランに入るときなどは、にがにがしくスニーカーを見つめずにはいられなかった。

 

果たして、T君は途中、疲れたとか言いながらも、大人二人との旅を最後まで元気に歩き通した。

 

旅行から帰った日の夕飯後、T君の足から鼻がひんまがりそうな匂いが。

 

スニーカーを洗う。
真っ黒。
中敷きの下からは砂がざらざらと。

 

靴を洗いながら、私はどれくらい、彼のことを知っているだろうか、とふと思う。

 

言葉の不自由な英語スクールで、休み時間に'ここぞ 'とばかりに校庭を駆け回っていること。
旅先で、買ってほしいフェラーリ(ミニ・フィギュア;56ユーロ)は高すぎると言われて、諦めてさらにとぼとぼと歩く気持ち。
世界遺産だろうがなんだろうが、イタリアの街の景色とかは全然興味なくて、私の従弟宅で、ネコ2匹をじゃらしながら走り回ったことが、一番楽しかったこと。

 

スニーカーに残ってる砂のひとつぶのほうが、まだ彼の気持ちをよく分かってるじゃない?
と、あまりに汚れたスニーカーから流れ出る砂と汚れ、気づけば私には涙が流れて、そんなことはどこを吹く風、元気で陽気なT君の声が聞こえる夜。

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