
自分がどうやって水にもぐることを覚えたのか思い出せないが、小学校の教諭だった父が、プール開放(父が当番)の日に生徒さんに交え、私にも泳ぎを教えてくれた記憶がある。
また、海で「足がつかん〜」と溺れかけの兄に「ここまでこい!」と言って泳がせた場面も記憶に鮮明だ。

タキチくんは今どきの子どもらしく、この夏、スウィミングスクールで「ひとり伏し浮き」を会得した。
肺呼吸の生き物として、水にもぐることが全然怖くなかったら、それはそれで問題だろう。
スクールへ車で通う道すがら、後部座席から「ぼく、なんかこわいなあ・・」と聞こえる日が続いていたのだが、映画で観たシンケンジャーに触発され「オレも勇気をだしてがんばる!」と宣言したときは、親バカながら感動した。
果たして「アヒル級」から「ペンギン級」に昇格したタキチくん。
夏休みのある日、一緒にプールに入って水中で手をつなぎ合った。ゴーグルもつけず、水中で小さな目を開けて前を見る顔は、水族館で観たシロクマに似ていた。
さて私は、タキチがスウィミングスクールのレッスンを受けている間、自分も大人用のプールで泳ぐ。
1時間のレッスンなので、自分の着替えや身支度を考えると正味30分のバタバタコースだが、水の中に身を置くあの快感には替えられない。
「お迎え」の滑り込みに失敗したことも。タキチよ、許せ!
